保存のできる糊を開発し、順調に業績を伸ばしていたヤマト株式会社ですが、戦争によって状況が一変します。1939年米穀配給統制令が公布され、米やトウモロコシなど食料になるすべてのでんぷん原料が国の管理になり、糊の原料に使えなくなったためです。
そこで食品の代わりに彼岸花やダリヤの花などの球根からでんぷんを抽出しましたが、異なる種類の非食品でんぷんでは従来品と同じ品質を保つことは容易ではありませんでした。その後研究を重ね、従来の製法と異なる化学的製法(冷糊法)を開発し、以前の製品よりも強力で劣化しにくい糊が誕生しました。戦争の苦難を乗り越えたのです。